
冲方 丁原作のモンスターヘビーノベルを大今良時(ちなみに女性)で漫画化されている本作マルドゥックスクランブル。
4巻は楽園での新たな人物との出会い、ウフコックとバロットの絆の行方、そして追跡者ボイルドの追撃が描かれている。
原作でも一呼吸置く場面ではあるのだが、カジノシーンへの布石として、ストーリーにもキャラクターたちにも重要な意味もこめられている楽園シーン。
さて、大今良時自身も一呼吸つきたくなったのだろうか?
何だかとても中途半端に描かれている。
可愛らしくポップな絵でありながらメリハリをつけ可愛くなりすぎないように、おかしくなりすぎないように描いてきていたのに今回の巻ではどこかその絵の描く方向性に疑問を抱いてしまった。
大今良時はこのマルドゥックスクランブルという作品の読者層を自ら選ばないようにこの絵のこのポップさで重すぎなく描いてきたのだと思う。だから原作以上に触れやすかったのだ。
しかし、それもこんなふうに空回りしてしまうと何とも幼稚に見えてしまう。
マルドゥックスクランブルは本来情報量に満ち知的で圧倒的に重苦しくも同時にとてつもない熱量があった作品のはずだ。
それがこんなふうに描かれているとまったく別のマルドゥックスクランブルとは言われても納得はできるはずもない。
次巻のカジノシーンは大丈夫なのだろうか?
カジノシーンはマルドゥックスクランブルで最も印象的で熱を帯びたシーンだ。
このカジノシーンで軌道修正をしないと原作を知っている読書も知らずに入った読書もなくすことになるだろう。
次巻こそ大今良時の力量が試される。
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