
HAUTE TENSION(HIGH TENSION)ハイテンション
2003年 フランス 91分
監督:アレクサンドル・アジャ
製作:アレクサンドル・アルカディ、ロベール・ベンムッサ
脚本:アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール
撮影:マキシム・アレクサンドル
特殊メイク:ジャンネット・デ・ロッシ
美術監督:グレゴリー・ルヴァスール
音楽:フランソワ・ウード
出演: セシル・ドゥ・フランス、マイウェン、フィリップ・ナオン
アレクサンドル・アジャ作品「ヒルズ・ハブ・アイズ」から観てしまったわけだが、その優れた構成力、演出力、そして王道でありながら新しさも貪欲に吸収して発信する才能に惹かれて今回はアジャ監督のデビュー作にあたる「ハイテンション」を観賞。
まずは…やっぱりオチから。
実際こんなオチになるとは思ってなかったため、オチが分かった瞬間に「そっち行ったらダメだ!!」と止めたくなったが結局……。
サスペンスやホラーでは余りにも使われて斬新さも新鮮さもなくなるほどに使い古された常套手段的なオチなのだが、それでもそこに行き着くまでの過程で楽しませてもらったので個人的にはこのオチでも良しとしよう。
それまでの過程は本当にスゴい!!
演出力、構成力はデビュー作から既に爆発している。この巧みな演出があるからオチがこれでも許せてしまうのかもしれない。
このオチは単純なスプラッターだけでは終わらせないように見せるアジャ監督のスパイスのようにも見える。
だが、はやりメインとなるのは残虐すぎるスプラッター描写だ。とんでもない殺し方をこれでもかと見せつける。
個人的に特にショッキングだったのはマリーがクローゼットの中から奥さんを殺されるのを見ているシーン。
クローゼットが鮮血で汚れていくシーンのショッキングさは何だか70年代のホラー映画を観ているようだった。あのアングルもスゴかった。
アジャ監督には大人も子供も男も女も皆同じラインの上に立っている。
それがどんな殺され方をされようがお構いなしだ。
その潔さがいい。
見ていてその不条理さも残虐さも胸糞悪いのだけれど同時に清々しさを感じてしまうのだ。
そのとんでもない殺し方を実行する殺人鬼役のフィリップ・ナオンが素晴らしい。
ギャスパー・ノエ監督の変態映画「カルネ」や「カノン」「アレックス」とそのギャスパー・ノエの後継者と呼ばれるファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督の「変態村」に出演しているのだから観る前からワクワクが高まってしまう。
いや…ワクワクどころかニヤニヤものである。
序盤から中盤にかけて顔がわからなかった殺人鬼の顔がクライマックスで明かされるのだが、インパクトありすぎる。
思い出しても怖い…。
「ヒルズ・ハブ・アイズ」といい「ハイテンション」といい良質なスプラッターホラーを楽しめた。
アジャ監督、次作は「ピラニア」の3Dリメイクだというが自ずと期待は高まってしまう。
やはりアレクサンドル・アジャ監督もこれから追い続けなければいけない。
若い監督がこれだけインパクトある作品を作ってるってことも嬉しい限りである。
ただ「ハイテンション」に一つだけ気に入らないことがある。
音響やオープニング曲は良かったのだがMUSEの曲を入れるのはどうかと思う。
MUSEの曲も十分インパクトある曲なのだが映画の強烈さにかき消されてしまってる印象が拭えない。ラストも何だか場違いな音楽に聞こえてしまった。
それ以外は素晴らしかった。
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