
The Back Horn、700日ぶりのニューシングルとなる「戦う君よ」はメンバー4人がそれぞれ作詞を行なっ ている。
#1 "戦う君よ" 菅波栄純
#2 "神の悪戯" 松田晋二
#3 "パラノイア" 山田将司
#4 "栄華なる幻想" 岡峰光舟
が新作となり初回限定盤には「マニアックヘブン Vol.4」のライブ音源が6曲プラスされている。
#1 "白い日記帳" at 渋谷O-EAST
#2 "カウントダウン" at 渋谷O-EAST
#3 "異国の空" at 渋谷O-EAST
#4 "プラトニックファズ" at 渋谷O-EAST
#5 "羽~夜空を越えて~" at 渋谷O-EAST
#6 "魚雷" at 大阪 BIG CAT
発売前にレコチョクで音源の部分的なダウンロードは始まっており聴いてみたのだが、それほど期待はしていなかった。いや、むしろ凡作だと感じていた。
先行配信されていた"戦う君よ"は"声"や"刃"に 並ぶまっすぐな応援歌で純粋にカッコいいと思っていたのだが、今までのThe Back Hornの曲と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまっていた。なので「戦う君よ」は
「マニアックヘブン Vol.4」の音源を手に入れるために買ったようなものだったのだが、これがなかなかどうして傑 作だった。
本編である4曲は現代という時代に合ったテーマ性に、曲を作る度に広がりを見せる歌詞の深さ、演奏の幅の広さ、と確実に「パルス」の ときよりもレベルアップしている。
"戦う君よ"は上記にも記したように応援歌だ。歌詞は栄純にしては珍しくまっすぐな応援歌だ。
しかしサウンドはヘヴィで場所によって狂ったようなギターが聴けたりとまっすぐなのだが歪んでいるなんとも不思議な曲だ。
なのにも関わらずラストには夢は追い続ければ報われるときが来ると言っているかのような明るく爽やかな展開があり、応援歌として単純な叱咤激励をしている だけの曲ではない。
"神の悪戯"は何よりもベースラインが面白い。うねるようなベースラインが前面に出ている。そしてヘビーメタルのよう なザクザクと刻むリフ、疾走感溢れるドラミングとThe Back Hornの曲の中でも1,2を争うほどのヘヴィな極曲になっている。
歌詞のほうは松田が作曲をしている。
エロティックなのだが神や世界とさまざまなものが混濁とした世界を歌っているようだ。
"パラノイア"は「戦う君よ」の中で最もインパクトのある楽曲である。
はっきり言えば狂ってるのだ。この耽美な世界観に浸ることで聴いてるこちらもおかしくなるようなそんな曲である。
山田は今までそこまで作詞に大きく参加したりしたことはなくて作詞が得意ではないのかと思っていたのだが、そんなことはなかったのだ。
"パラノイア"を聴いてThe Back Hornのメンバーの中で最もThe Back Hornらしい深くて狂った世界を書けるような気がすると思ったほどだ。
"栄華なる幻想"は岡峰らしい曲だ。歴史が好きという岡峰のどこか時代を不安に見たそんな様子が歌詞の中から滲んでい るように思える。
『命の価値とか平等がどうとか孤独を恐れて口をそろえ』という歌詞は読んでいてはっとさせられる。孤独を恐れ集団的な意見が自分の意見のように思える。そ んな風刺的な歌詞である。
楽曲は比較的重々しい曲が多いがそれでも幅の広さが出ている。演奏面で歌詞の面で他の追随を許さないポテンシャルの高さと引き出しの多さがある。
と言うのも彼らは日々努力を惜しまないからなのだろう。
The Back Hornというバンドは決して立ち止まらないから好きだ。彼らは立ち止まることを否定しない。だが彼らはもがきながらも少しずつ確実に前に進んでいる印象 を受けるのだ。だからこっちも身体を揺らしたくなるし、叫びたくなる。
こんなバンドはそうはいない。だからThe Back Hornをずっと追い続けたいと思うのだ。
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