
A RIVER RUNS THROUGH IT(リバー・ランズ・スルー・イット)
1992年 アメリカ 124分
監督:ロバート・レッドフォード
製作:ロバート・レッドフォード、パトリック・マーキー
製作総指揮:ジェイク・エバーツ
原作:ノーマン・マクリーン
脚本:リチャード・フリーデンバーグ
撮影:フィリップ・ルースロ
プロダクションデザイン:ジョン・ハットマン
美術:ウォルター・P・マーティシャス
衣装デザイン:キャシー・オリアー、バーニー・ポラック
編集:ロバート・エストリン、リンジー・クリングマン
音楽:マーク・アイシャム
ナレーション:ロバート・レッドフォード
出演:ブラッド・ピット、クレイグ・シェイファー、トム・スケリット、ブレンダ・ブレシン、エミリー・ロイド、スティーヴン・シェレン、ニコール・バーデット、ヴァン・グラヴェイジ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マイケル・カドリッツ
1900年代初頭、アメリカ、モンタナ州で育つ2人の兄弟。兄のノーマンは真面目で勉強もできる。一方、弟のポールは自由奔放な性格。
2人は毎日、牧師で厳格な父に教えられたフライフィッシングをして過ごしている。
大人になるとノーマンは大学に行くためシカゴに行き、ポールは地元の新聞記者としての仕事を得る。
大学も卒業し仕事を得るまでの間、モンタナに帰ってきたノーマンは久々にポールと対面する。
ポールは自由闊達な青年に育っており、またとても美しかった。
ポールはノーマンに聞く「フライフィッシングはしてるのか?」と。
だが、ノーマンはモンタナを離れてから一度もフライフィッシングをすることはなかった。そんなノーマンを誘い兄弟でフライフィッシングに行く。
ノーマンは久々のフライフィッシングにも関わらず、すぐに勘を取り戻す。
ポールに釣った魚を自慢をしに向かう途中でノーマンはポールの天才的なフライフィッシングの腕を見るのだった。
2人は昔のように仲良い兄弟に戻るが、兄弟の確執もまた生まれていく。
大人になった兄弟間の確執争いというのは意外とどこにでもあることだろう。
子供の頃はいつも自分より下だった弟がいつの間にか自分を追い抜いている。そんな悔しさは兄弟を持つ人ならわかるんじゃないだろうか。
本作では主にフライフィッシングを通してそれが語られる。幼少時代では、自分が上だったフライフィッシングがいつの間にか自分よりも上手くなっている。それも自分じゃ到達できないような天才的なフライフィッシャーに。
ノーマンは他にも女性の扱い方、ダンスの上手さ、更に仕事面でもポールに嫉妬している。
しかし、真面目なノーマンはそれを決して表には出さないのだ。
嫉妬心は持ちながらも寛大な兄を演じているのだ。
後半ではこの確執争いが更に大きくなっていく。
シカゴ大学英文学科教授を任せられることとなるノーマン、そしてノーマンの彼女であるジェシーと結婚することとなることなどを話すノーマンにポールも嫉妬心を持つのだ。
これから真面目な生活を送っていくことになるであろう兄ノーマンの姿に危機感を感じたのかもしれない。ポールはまったく目的もなく生活しており借金もたくさん背負っている。
でもポールはそれを決してノーマンには言わない。最後までずっと黙っているのだ。
それでポールが殺されることになろうとも…。
恐らくポールは確執争いから言えなかったのではない。
兄弟だから、家族だからこそ言えなかったのだと思う。
自由奔放に好きなように生きてきたから深刻な姿を見せたくないという部分もあるのだろう。
ラスト、おじいちゃんになったノーマンがおぼつかなくなった手で糸にフライを付け竿をしならせてフライフィッシングをする姿には「リバー・ランズ・スルー・イット」川はそれでも流れていくというタイトルの意味全てが詰まっているように見えた。
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