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GASPARD ET ROBINSON(ガスパール~君と過ごした季節~)
1990年 フランス 90分

監督:トニー・ガトリフ
製作:マリー・シュラキ
脚本:トニー・ガトリフ、マリー=エレーヌ・リュデル
撮影:ドミニク・シャピュイ
音楽:ミシェル・ルグラン

出演:ジェラール・ダルモン、ヴァンサン・ランドン、シュザンヌ・フロン、ベネディクト・ロワイアン、シャルロット・ジロー

ベン・ハーを観た後に鑑賞した。
あれだけスゴい映画の後に観たのでは霞んで見えてしまうかもしれないなぁ、などと思っていたのだが全然そんなことなかった。


「名前は”ジャンヌ”無一文です。よろしくお願いします」
そのメモを胸に付けられ捨てられた老婆。
眠っているようだ。
眼が覚めると遠くに見慣れた車が見える。
捨てられたのだとそこで悟る。
息子の名を叫び打ちひしがれるジャンヌの眼の前に一台の車が止まる。
「おばあちゃん、どうしたの?」車の男がそう尋ねる。
ジャンヌは胸についたメモを渡すと男は笑ってジャンヌを車に乗せる。
そのまま男の家に招かれ「好きなだけいていいんだよ」とジャンヌに言う。
ジャンヌは安堵と悲しさから眠ってしまう。
男が浜辺を歩いていると同居人の声がする。
「ロバンソン あれは何だ?」
同居人のガスパールはロバンソンに強く当たる。
捨てて来い。
そうロバンソンに言うがロバンソンは困ってる人は助けなくてはいられない性分なのだ。現実を見ろ。お前は甘い。ガスパールにどう言われようともほっとけないのだ。
何を言っても無駄と思ったガスパールはロバンソンに内緒でジャンヌを捨てに行く。しかし、それに気づいたロバンソンはジャンヌを連れ帰ってくる。
ガスパールはこうなったらもう無駄だと判断したのか、その日からロバンソンとガスパール、そしてジャンヌの新たな生活が始まっていく。


ジプシーがこの映画の一つのヒントになっている。
本作に出てくるキャラクターたちは皆ジプシーのような放浪者同然の人たちだ。
ロバンソンは12歳のときから町のベンチで寝ていたという母に捨てられた子。ジャンヌは子供に捨てられている。ガスパールは妻に捨てられた。終盤に出てくるエヴァという女性は男に捨てられたのだろう、娘と二人暮らしだ。

皆、普通の生活には戻れない大きな傷を負っている。
だがロバンソンとガスパールはそれを取り戻そうと二人でレストランを開こうとしている。
そこにジャンヌが入ってくる。
初めは嫌々だったガスパールも共にいるうちにジャンヌに愛情を持ち始める。
それは”家族”のようなものだと思っていたのかもしれない。しかし、家族にはなれない。
そこにロバンソンが一目惚れしたエヴァとその娘が入ったことにより”家族のようだったもの”が”家族”へと変わっていくのだ。
だからガスパールはラストであのような決断をしたのだろう。
もしエヴァの相手がガスパールだったらロバンソンはガスパールがしたような決断をしただろうか? 
恐らくしなかっただろう。
それは家族を持っていたガスパールだからこそあのような決断ができたのだ。

寂しく、切ない決断だがガスパールはロバンソンとエヴァ、そしてジャンヌに「いつかきっと君たちが作ったパスタを食べに行く」と置き手紙を残している。
二度と会わない別れではなくて、また会おうという約束だ。

そしてラスト一人歩くガスパールの後ろを毛むくじゃらの汚らしい犬がついてくる。「ついてくるなって言ってるだろ!」「独りにしてくれ」そう叫ぶガスパールの後ろをついてくる犬。
ガスパールは諦めたのか、こっちに来いよと足をポンポンと叩き呼び寄せる。
最後までガスパールは優しかった。

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Ben-Hur(ベン・ハー)
1959年 アメリカ 240分

監督:ウィリアム・ワイラー
製作:サム・ジンバリスト
原作:ルー・ウォーレス
脚本:カール・タンバーグ
撮影:ロバート・L・サーティース
音楽:ミクロス・ローザ
助監督:セルジオ・レオーネ
出演:チャールトン・ヘストン、ジャック・ホーキンス、ヒュー・グリフィス、スティーヴン・ボイド、ハイヤ・ハラリート、マーサ・スコット、キャシー・オドネル


映画史上に燦然と輝く名作でありながら未だに未見であった「ベン・ハー」
映画ファンを公言していながら、この名作を観ていなかったと言うのが余りにも恥ずかしいのだがやっと鑑賞。

いやぁ…スゴかった。素晴らしかった。感動した。
4時間近くある長さなど一切感じないほど惹き込まれた。


ローマ帝国が支配するエルサレムに一人の司令官が赴任してくる。その司令官の名前はメッサーラ。
メッサーラがエルサレムに赴任してきたことを知ったユダヤ人貴族であるジュダ=ベン・ハーは早速メッサーラに会いに行く。二人は幼い頃からの親友であり、支配者と被支配者という垣根を越えて固い友情で結ばれていた。
再会を喜び合う二人だが、幼い頃のような関係ではいられなかった。
メッサーラはベン・ハーにローマに反抗する者を密告しろと言う。しかし、同胞を裏切ることのできないベン・ハーはメッサーラの脅しに反発し、絶交してしまう。
ローマには新総督就任も間近であり、そのパレード中ベン・ハーの家の瓦が事故で落ちてしまう。その瓦が総督に直撃し怪我を負わせたことからベン・ハーの母と妹は暗殺未遂として捕まる。
ベン・ハーは事故であったことをメッサーラに訴え解放してくれるように頼む。しかしメッサーラは事故であったことを知りながらもベン・ハーとその家族に罪を着せ、家族は牢獄にベン・ハーは奴隷とローマ軍のガレー船の漕ぎ手として送られる。
ガレー船の漕ぎ手はしんどく、人を人とも思わない仕打ちをされていたにも関わらずローマ艦隊が海賊と戦った際にベン・ハーは艦長であるアリウスの命を助けたことからベン・ハーはアリウスの養子として迎えられる。
そして自由を得たベン・ハーは家族を助けるため、そしてすべてを壊したメッサーラに復讐するために戻る。


…というジュダ=ベン・ハーの復讐劇に、イエス・キリストの誕生からゴルゴダの丘での磔までが絡んでくる。
それを圧倒的な構成美で描いている。
一切の捨てシーンがない。どのシーンも必要で、その結果がこの長さなのだ。

本作最大の見せ場であるレースシーンは特に圧巻だ。
CG技術がない時代にこれだけ迫力に満ちたレースシーンを作り上げた事実に感服する。
ちなみにこのシーンでは4ヶ月の緻密な撮影リハーサルを行い、撮影に3ヶ月の期間を設けたようだ。実際の撮影では10万ドルする65ミリワイドスクリーンカメラが壊れてしまうなどの事故はあったものの死人や大怪我をした者は一人も出なかったようである。


映画史上に輝く本作は絶対に必見の作品だ。
今まで観たことのなかった自分が言うのも何ともおこがましいがそれでも未見の方が羨ましい。
これほど全てにおいて素晴らしい作品を何も知らずに楽しめるのだから。

それにしても助監督にセルジオ・レオーネがいるというのは驚きだった。



CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND(未知との遭遇)
アメリカ 1978年 135分

監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作:ジュリア・フィリップス、マイケル・フィリップス
脚本:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ヴィルモス・ジグモンド、ラズロ・コヴァックス
特撮:ダグラス・トランブル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー、テリー・ガー、メリンダ・ディロン、ボブ・バラバン、ケリー・ギャフィ

30年近く前の作品なのに初めて観て衝撃だった。
今更この作品を観たということも恥ずかしいのだが、それでもこの作品が当時どれだけの衝撃と映画界を目指す後進の人たちに影響を与えたのかは手に取るようにわかった。
一体どうやって撮ったのだろうというUFOのVFXには最先端のCG技術がある現代でも驚く。もちろん本作はアカデミー賞において撮影賞と特別業績賞(音響効果編集)を受賞している。
この1977年という年は「スターウォーズ」が公開された年と重なる。
ちなみに「スターウォーズ」は編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、作曲賞、録音賞、視覚効果賞をアカデミー賞で受賞している。
「スターウォーズ」と「未知との遭遇」、この余りにも大きな2作品に当時は宇宙への憧れと夢が膨らんだのは語るまでもないだろう。


本作はタイトルの通り未知との遭遇、いわゆる異星人、宇宙人との接触をテーマに描かれている。しかしスピルバーグが後に監督した「宇宙戦争」のような侵略というかたちではなくて友好的な接触である。
そこに夢、希望がある。
もちろんスピルバーグらしくファーストコンタクトのシーンは謎に満ち溢れ、不気味である。
しかし、ラストで描かれる接触シーンは人々が思っていた夢や希望、憧れのかたちが具現化したシーンでもあるだろう。
人間たちが束になっても敵わないであろう発達した文明であればあっという間に蹂躙されて終わりだろう。
だからこそ我々人間より遥かに進んだ文明が武力で侵略、蹂躙などしないと信じたいのだろう。


ともかく、本作はSF映画の中でも避けて通れない名作だ。観てないかたは今すぐにでも観るべきだ。
これだけSF映画の作品も数多くあるなかで本作は確かに物足りなさを感じるかもしれない。
しかし、それでも観ればこの作品が当時どれだけのインパクトを与えたのかはわかるはずだ。



Drag Me To Hell(邦題:スペル)
アメリカ 99分
監督:サム・ライミ
製作:ロブ・タパート、グラント・カーティス
製作総指揮:ジョー・ドレイク、ネイサン・カヘイン
脚本:サム・ライミ、アイヴァン・ライミ
撮影:ピーター・デミング
編集:ボブ・ムラウスキー
出演:アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、ローナ・レイヴァー、ディリープ・ラオ、デヴィッド・ペイマー、アドリアナ・バラーザ


「死霊のはらわた」を初めて観たときに感じたバカバカしさと気持ち悪さ、そしてちょっぴりの怖さを再び思い出した。
サム・ライミらしいホラー映画となっているが、ハリウッドのヒットメーカーとしてのサム・ライミ作品ではなくて好きなことを好きなようにやったサム・ライミ映画であるように感じた。


主人公のクリスは銀行のローンデスクで働くキャリア・ウーマンだ。
そのクリスの元に不動産ローンの延長を懇願しにガーナッシュと名乗る不気味な老婆が来る。
クリスはガーナッシュ夫人に憐れみの念を感じるが、昇給を意識した彼女は支店長に気に入られようとガーナッシュ夫人をあしらって大勢の前で恥をかかせてしまう。
人前で恥をかいたことが許せなかったガーナッシュ夫人はクリスに襲い掛かり呪いをかける。その呪いとはラミアと呼ばれる闇の悪魔にクリスの魂を奪わせるという怖ろしい呪いだった…。その日からクリスの身の回りには怖ろしい出来事が起きていき、クリスは呪いから身を守るために奔走する。


プロットはとてもシンプルで余計なものを一切省いてる。
しかしながら、小道具やセリフ、キャラクターのアクションに緻密な伏線を張っておりラストでは「なるほどね!」と、納得してしまう清々しさを感じる。
しかし同時に、何故ここまで笑える要素を詰め込んだのかという部分が謎である。
クリスの”何か”がいるという恐怖と死へのカウントダウンにハラハラしながらも、たびたび現れるガーナッシュ夫人への対処で噴出してしまうほど笑ってしまうのだ。
個人的にはシリアスをずっと通していればなかなかの秀作になれたのだが、このギャグ要素に萎えてしまうときもあり残念であった。


実際のところ、ここ十数年のサム・ライミの作品のつまらなさには閉口していたので本作もまったく期待はしていなかったのだが、サム・ライミにしては面白いほうだったので良しとしよう。



INGLOURIOUS BASTERDS(イングロリアス・バスターズ)
2009年 アメリカ 152分

監督:クエンティン・タランティーノ
製作:ローレンス・ベンダー
製作総指揮:エリカ・スタインバーグ、ロイド・フィリップス、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
プロダクションデザイン:デヴィッド・ワスコ
衣装デザイン:アンナ・B・シェパード
編集:サリー・メンケ
出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、ミヒャエル・ファスベンダー、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール

戦争映画というのは難しいもので史実を歪めてしまうと非難の的になる。
ナーバスな問題なので観てるこちら側もいつしか史実を辿らない映画に対して妙に批判的になってしまう。
それはそれでしょうがないという気もしてしまうのだが。

しかし、あの映画界の異端児クエンティン・タランティーノが戦争映画をやるというのだから公開前からヒヤヒヤしていたのだが、いざ観てみるとまったくタランティーノは……。
「ふざけんな! 歴史歪めてんじゃねぇか!!」などという批判はできそうにない。なんたってタランティーノなんだから。最初からこうなることはわかっていたのかもしれない。
しかし、これで納得してしまう(いや、せざるを得ない)のだからしょうがない。


毎度のことだがタランティーノ監督は最初の10分が秀逸だ。
オープニングシーン。
ナチス占領下のフランス。のどかな村にジープの音が近づいてくる。そこに住むラパディット一家はジープから降りてきた男ハンス・ランダ大佐を家に迎え入れる。大佐は別名”ユダヤ・ハンター”という渾名を持つほどユダヤ人を殺してきた冷血漢だ。
大佐は行方不明のユダヤ人一家の家族構成だけを教えてもらいにきただけだと言うが、ラパディット一家の床下にユダヤ人一家が隠れていることに気づき白状させる。
部下をラパディット家に呼ぶと床下に銃弾を撃ちまくる。

このオープニングシーンでの会話のやり取りが絶妙だ。フランス語でラパディット家の主人に話しかけフランス語は苦手なんだ。英語で話してくれと諭し、ユダヤ人に気づかれないように英語でどこに隠れているのかを聞きだす。
アクションシーンでも何でもないのに、何てスリリングで緊張感に富んだシーンだろう。
その後も映画全編通してドイツ語、英語、イタリア語、フランス語と様々な言語が飛び交っていく。
アメリカ映画に多い言語を無視したキャラクターのバックグラウンドの薄さが本作にはまったくない。

本作は傑作とまでは言い難いがタランティーノ監督の一つのターニングポイントになることは間違いない。
歴史と映画の壁をぶち破った先、何を作ってくれるのか…。ますますタランティーノ監督のこれからが気になるところだ。

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