
「夏のロケット」
川端 裕人 著
中学時代、高校時代に描いた夢をいつまで追っていけるだろうか。
20歳を過ぎたら諦める? もしくは20代半ばまでは頑張ってみる?
それともずっと追い続ける?
誰もがずっと追い続けたいと思っているはずだ。
だが、それは難しい。
仕事をし始めたら時間に追われて夢への前進ができなくなる。結婚をしてしまったら余計に時間がなくなる。子供ができてしまったら生活のために仕事を頑張らなければ。
そんなふうにして夢を諦めてしまっている人が大半だろう。
だがやっぱり夢は諦めたくない!!
「夏のロケット」は大人になってから高校時代の夢を取り戻す話だ。
高校の部活でロケットを作っていた5人の男子高校生たち。火星に行くロケットを俺たちが始めに作ってやると息巻いてロケット開発に毎日を送る。
いつの間にか学校生活も終わりそれぞれの道へ進んでいく。
30になって高校時代の仲間がロケットを作っていると知り接触を試み、いつの間にか自分も高校時代のように仲間に引き込まれてロケット作りに夢中になっているという話だ。
ストーリーは言ってしまえばありがち。壁を乗り越えれば、また壁と苦難や災難に満ちた展開でリアリティは薄い。
しかし、それは王道的展開でもあって気づけばストーリーに惹きこまれている。
それにやっぱり宇宙ってだけで胸が踊るもんだよ。
中学のときに図書館に「ロケットボーイズ」という本があって、それが大好きだった。何度も読み返したなぁ。
今、この著者はどうなってしまったのかはわからないが「夏のロケット」と同じ10代の頃に夜空に流れていくスプートニクを見たことから仲間たちとロケット作りに夢中になり、NASAの技術者になったのだから驚く。
この本は「遠い空の向こうに」というタイトルで映画化もされている。
「夏のロケット」はそのときの読書体験と宇宙への憧れを思い出させてくれた。
10代に体験した淡い思い出と共に、夢への情熱を心の中で再確認できた一冊だった。
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